阿蘇市病院事業管理者 兼 阿蘇医療センター院長 甲斐 豊先生
所在地
熊本県阿蘇市黒川1266
病床数
124床(一般:120床(うち地域包括ケア病床21床・開放型病床5床)、感染症4床)
診療科
内科、循環器内科、脳神経内科、消化器外科、脳神経外科、小児科、整形外科、リウマチ膠原病内科、乳腺・内分泌外科、糖尿病・代謝・内分泌内科
急性期医療・がん治療・在宅医療における阿蘇圏域全体の基幹病院として機能する阿蘇医療センター、甲斐 豊院長にメドコム導入の経緯、また導入後の変化について伺いました。
まず取り組むべきは、宿日直許可を得ることだと考え、先日(2023年7月)、夜23時~朝8時 間の宿日直許可承認を得ました。これは当院に限らず、多くの地域病院に共通していることかと思いますが、当直について、各所属医師のみでまかなうことはできません。他大学病院から医師を派遣いただき、対処しています。
一方で、法律上、連続勤務時間は28時間と定められているため、応援に来ていただいても、本来必要とする勤務シフトを組めずにいました。そうした状態は、病院として体制を見直すことで解決できるため、いち早く着手しました。既に多くの医療機関が宿日直許可を得ていると思いますが、今後より増えてくるのではないでしょうか。
発表された2021年から考えてはいましたが、2022年11月、ちょうど1年ほど前から少しずつ準備を始めました。まず行ったのは、当院所属の12人の医師の労働時間の詳細把握です。各々へのヒアリングに加え、導入したメドコムのGPS機能を活用し、1ヶ月半の間、ひとりひとりの動きをモニターしました。自己申告だけでなく、第3者視点(GPS)で把握することにより、現状の働き方がより見える化できると考えたのです。もうひとつは、仕事と自己研鑽の認識統一です。組織として、この点を曖昧にしてしまうと、誰しもにとっての働き方改善に繋がらないのではと思いました。
即決でした。ちょうど1年前、上記と同じタイミングですね。働き方改革に向け準備を始め、当時使用していたPHSをより利便性の高い機器に移行したいと思っていたところ、メドコムと出会いました。実はメドコム社(当時のフロンティア・フィールド社)さんのほか、1社にもお声がけいただいていたのですが、メリット等、説明を受け、当院の求める機能性を満たしていると判断し、メドコムの導入を決めました。
大きく3つあります。1つ目は、チャット機能の搭載です。以前の電話を主としたコミュニケーションでは、緊急を要する仕事上、出られないことが往々にしてありました。電話に出ずとも緊急用件を把握できる、チャット機能の追加は、院内コミュニケーションに大きな変化をもたらしました。特に看護師からは、指示受けの連携が円滑になったとのことで、好評を得ています。情報共有がしやすくなり、医師だけでなく、看護師、またその他のスタッフの業務効率化にも寄与しています。
2つ目は、個人/各病棟の発信履歴が残ることです。院内外問わず、どこにいても、すぐに相手を特定し、折り返せるようになりました。これまでは、院内から院外に架電する場合、必ず代表番号を経由してしまったため、出られなかった際は、再度代表番号に架電をし、発信元を探すなどの手間がありました。こうした労力がなくなった点にも利便性を感じています。
3つ目は、ボイスレコーダー機能の搭載です。患者様との間に医療トラブルが起きた際に、すぐ録音でき、理不尽な要求等を記録することができます。このようなケースに速やかに対処できる身近な機能は、安心安全な環境維持にも有効です。
ほかにも、お薬の早見帳など付帯機能が充実している点や、医療関係者間コミュニケーションアプリ「Join」をインストールし活用できる点など、PHSに比べ、使い勝手に汎用性があり、非常に高い利便性を感じています。
当院は以前より電子カルテ以外にも色々な医療情報システムに着目しており、 “働き方改革”を機にではなく、それ以前より職員の負担軽減や効率性の高いシステムがあれば検討や導入を行ってきました。
そのためメドコムの導入も、働き方改善を強く意識したからという理由でなく、スマホによってこれかも当院の求めている職員の負担軽減など拡張性の高さに期待して導入しました。一時的ではなく、日々より現場の声に耳を傾け、改善策を模索することが、本当の意味での働き方改善に繋がると考えており、医療DXはその方法の一つであります。
実は、当院は看護師の充足度が非常に高いと感じており、当院の新人看護師の中には当院のITツールの魅力を知って選ばれたという声を聞いたこともあり、医療職の日頃の働き方への意識をしていた結果が表れているのかとも思います。
様々な最新業務効率化ツールを導入など、先進的に働き方改善に取り組んでおりますが、これも経営に余裕があるからこそできることだと認識しており、私たちは非常に恵まれていると感じています。
多職種連携によるチーム医療を拡大していきたいと考えています。多職種が効率的に連携していくためにも、メドコムは欠かせないツールです。今後、導入の幅を広げ、より効果的な活用方法を模索し、医療現場の効率化・発展に役立てていきたいと思っています。
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