DX化の推進と業務効率化を実現する2024年度補正予算活用術
厚生労働省は2024年度(令和6年度)の補正予算案において、医療機関が賃上げに取り組む際の支援として、828億円を計上しました。ICT機器やタスクシフト・シェアを導入し業務効率化を図る医療機関に支給し、交付金は導入経費や人件費に充てることが可能です。どのような活用方法が考えられるのか、具体的に取り上げてみました。
目次[非表示]
- 0.1.支援の概要
- 0.2.医療DXの推進
- 0.3.労働環境の改善
- 0.4.医療安全性の向上
- 0.5.資金調達や補助金の活用
- 0.6.患者中心の医療体制の構築
- 0.7.持続可能な医療の推進
- 0.8.まとめ
支援の概要
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対象医療機関
- 2024年度の診療報酬改定で新設された「ベースアップ評価料」を算定している医療機関
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支援内容
- 生産性向上や業務効率化を目的とした設備導入や取り組みに対する交付金
- 交付金は、導入経費だけでなく、人件費にも充てることが可能
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交付額
- 病院:1床あたり4万円
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補助率
- 全額補助(10/10)
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具体的な支援例
- タブレット端末や離床センサー、床拭きロボット、ウェブ会議システムの導入
- 医師事務作業補助者の配置など、業務効率化に資する取り組み
経費相当分の給付金を支給し、これらの支援により、医療機関が生産性向上や業務効率化を図り、医療従事者の賃上げを推進することが期待されている。
これらを踏まえて、取り組むべき具体的な方針やアクションを整理する。
医療DXの推進
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電子カルテやモバイルデバイスの活用
医療DXの重要な柱として、電子カルテのモバイル対応や情報共有の効率化が挙げられる。看護師や医師がスマートフォンやタブレットを活用することで、院内での情報伝達やデータ入力がスムーズになる。
具体例:モバイル対応の電子カルテ導入
スマートフォンを利用した患者データ共有
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データ連携基盤の構築
他の医療機関や行政とのデータ共有を円滑に行うために、クラウド基盤やセキュアな通信環境の整備が求められる。
労働環境の改善
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働き方改革への対応
看護師や医師の負担を軽減するため、デジタルツールを活用した業務効率化を推奨。
具体例:スマートフォンでのナースコール管理
勤務管理システムの導入
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人材不足への対策
テクノロジーを使った業務自動化や効率化により、少ない人数で質の高い医療を提供できる環境を整備。
医療安全性の向上
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リアルタイムでの状況把握
スマートフォンやウェアラブルデバイスを活用して、患者のバイタルデータや状態をリアルタイムでモニタリング。
具体例:患者モニタリングシステムの導入
緊急時アラート機能の活用
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セキュリティ対策の強化
個人情報の保護を徹底するため、最新のセキュリティ対策(例:VPN、MFA認証)を導入。
資金調達や補助金の活用
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補助金や助成金の活用
補正予算案で医療機関のデジタル化支援が行われる場合、これを活用することで、初期投資の負担を軽減できる。
具体例:医療IT機器導入費用の助成申請
セキュアネットワーク構築のための補助金活用
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長期的なコスト削減の計画
国の支援を活用して導入したシステムを活かし、業務効率化や維持費の削減を目指す。
患者中心の医療体制の構築
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患者とのコミュニケーション強化
スマートフォンを使った患者との直接的なコミュニケーションや、診療予約システムのデジタル化を進める。
具体例:患者向けポータルサイトの導入
診療スケジュールのオンライン管理
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在宅医療や遠隔医療の活用
地域包括ケアの推進の一環として、遠隔診療システムの整備や、在宅医療用のデバイス導入を進める。
持続可能な医療の推進
- 環境負荷の軽減
デジタル化を進めることでペーパーレス化を図り、環境負荷を減らす。
具体例:紙カルテの廃止
電子処方箋の活用
まとめ
医療機関は、補正予算を活用してデジタル化や業務効率化、安全性向上を進めると同時に、患者満足度やスタッフの働きやすさを向上させる取り組みを進めるべきである。この機会に、医療DX推進の計画を具体化し、補助金申請や導入プランの策定を進めることが重要である。