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「医師の働き方改革」実態調査 ※2024年1月実施

医師200名、医療機関経営者124名に聞いた、2024年4月に施行される「医師の働き方改革」に関する実態調査
株式会社フロンティア・フィールド実施

目次[非表示]

  1. 1.「医師の働き方改革」の背景
  2. 2.「医師の働き方改革の概要」
  3. 3.医師や医療機関の経営者は「働き方改革」をどう思っているのか?
  4. 4.~ 経営者:医師の働き方改革にはまだまだ課題あり 63.7% ~
  5. 5.~ 現状は最低限の施策に留まる。ICTや業務効率化は今後 ~
  6. 6.~現場医師は今後、人員増加とICTによる業務効率化に期待~
  7. 7.~ ICT各施策は幅広い領域でニーズが高い ~
  8. 8.まとめ

「医師の働き方改革」の背景

 「医師の働き方改革」が4月にスタートします。そもそも、2019年4月より、医師ではない我々には、既に施行されている改正労働基準法内の時間外労働の上限規制について「医業に従事する医師は」は5年間の適用猶予期間が設けられていたものであり、この3月にその猶予期間が終了し、いよいよ常態化している医師の長時間労働を見直しまして、良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制を確保するための一連の業務改革「医師の働き方改革」を考えていかなければならない事になっています。

「医師の働き方改革の概要」

 時間外労働の上限規制と健康確保措置の適用により、時間外労働の上限は、医療機関に適用する水準により異なりますが、年間960時間以内であったり、1860時間以内となっています。これら労務管理の徹底、労働時間の短縮により医師の健康を確保します。医師ではない一般の労働者からすると、年間960時間でも非常に長い時間外労働であり、今までの医師の方の負荷の高さを感じざるを得ません。
 また、医師の業務の一部を看護師等にタスクシフト、タスクシェアを推進することにより、すべての医療専門職それぞれが、自らの能力を活かしより能動的に対応できるようにする施策をおこないます。質と安全が確保された医療を持続可能な形で患者に提供する事を目指しています。これらの時間外労働の制限、タスクシフトをおこないながら、地域医療に関しては、計画書を作成し、取り組みを実施し、医療体制を確保していく事になります。


医師や医療機関の経営者は「働き方改革」をどう思っているのか?

 4月にせまる医師の働き方改革の中、「診察時間の削減」や「地域医療の崩壊」など、利用者にとってネガティブなトピックも語られたりもしていますが、実際のところ当事者である医師や医療機関の経営者の方はどう感じているのか?
株式会社フロンティア・フィールドで、医師、医療機関の経営者の方、324名に対し、「医師の働き方改革」に関する意識調査を行いましたので、その結果をお話しできればと思います。

<調査概要>
医師の働き方改革による意識調査
調査時期:2024年1月
対象:医師  200名
医療機関の経営者    124名
計: 324名
調査会社:株式会社シグナル(アクセンチュアグループ)
※このデータを転用されるさいには、「株式会社フロンティア・フィールド調べ」とご記載ください。


~ 経営者:医師の働き方改革にはまだまだ課題あり 63.7% ~

 医療機関の経営者に「医師の働き方改革」に向けて、取り組みの度合いを聞いたところ64.5%の方が十分、ある程度は取り組みをできていると答えているのですが、医療機関の経営者に「医師の働き方改革」に向けて、 課題(足りていない点)があると思いますか。とお聞きしたところ、半数以上の63.7%が、まだまだ課題があると思うという回答がありました。これは、罰則規定も存在する「医師の働き方改革」においての取組は、まだまだ対処にとどまっていると思われます。


~ 現状は最低限の施策に留まる。ICTや業務効率化は今後 ~

 同じく医療機関の経営者に対して、医師の働き方改革に際し、①現状取り組んでいる事と、②今後取り組んでいきたい点を聞きました。また、右のPoint表記は今後と現状の差のポイントとなっており、今後の期待度の高さと考えられるかと思います。
 現状の取り組みとしては、「医師以外の医療関係者へのタスクシフト、タスクシェアリング」が37.1%で最も多く次いで、「地域の医療機関との機能分化・連携強化」の25.8%となり主に、先ほどの「医師の働き方改革」でも謳われていた項目である、労働力のシェア、配分を施策のメインに考えている結果になっています。
 また、今後の取り組みの意向としましては、「医師の増員」が26.6%、「診療時間の短縮や、医療機能の縮小」が25%と労働力の分配や、労働力の確保の文脈が依然大きいのですが、唯一「ICT技術を活用した業務効率化」が、21.8%となっており、こちらは前向きな取り組み、攻めの医療DXとして現状と今後の施策としての意向の差分も大きく、期待値も高い結果となりました。我々としては、医療機関に対し、ICT技術を活用した業務効率化が可能なものとして「日病モバイル」を今まで以上に告知していかねばならないと考えております。


~現場医師は今後、人員増加とICTによる業務効率化に期待~


 現場の医師の方にも同様に、現状と今後の「医師の働き方改革」の取り組みを聞いています。経営者と同様に現状の取り組みとして、「医師以外の医療関係者へのタスクシフト、タスクシェアリング」が36.0%で最も多く、次いで「地域の医療機関との機能分化・連携強化」の22.0%となり、「医師の働き方改革」で謳われていた項目である労働力の分配を施策のメインに考えていく結果になっています。
 今後の期待に関しては、「医師の増員」「ICT技術を活用した業務効率化」のスコアが経営者のかたよりも非常に高く、現状と今後の差分も大きくなっており労働力の増加と、もうひとつは業務効率化、よく言われる医療DXを進めていかないといけない事が切実な思いとしても顕著に表れていると考えます。今後、「医師の働き方改革」の先にある業務効率化や医療DXを推進していくうえで、医療DXをリードする人材の必要性も増してきているのではないかと考えられます。


~ ICT各施策は幅広い領域でニーズが高い ~

 最後に、経営者、医師の双方に「ICT技術を活用した医師の業務効率化の具体的な各種施策」に対して必要だと思う施策を聞きました。
 医師、経営者共に「音声入力やスマホからの電子カルテ入力等による医師の行う作業の省力化」「勤怠管理システム等による労働時間の管理適正化」といった項目が高く、次いで「Web会議システムやグループチャットによるチーム医療の効率化」、「AI問診等による医師の診療行為の補助代替」が来る結果となり、一部各医療機関では各々実施済みの施策もあるかと思いますが、総じて多くの施策に高いニーズのスコアが出ています。
 これら各種ICT技術を活用した医師の業務効率化の各種施策は「日病モバイル」のスマートフォンを通じて、特に「Web会議システムやグループチャットによるチーム医療の効率化」や「遠隔画像診断等による遠隔医療の実現」に関しては、日病モバイルでオールインワンで提供するチャット機能や、動画撮影、Web会議のソリューションで実現できます。また、日病モバイルのスマートフォンをハブとして他社のアプリケーションを活用する事で、「音声入力やスマホからの電子カルテ入力等による医師の行う作業の省力化」は、医療機関に必要なセキュリティ環境の中で実現可能です。これから、どんどん事例を発信していきたいと考えています。

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まとめ

 医療機関の経営者は、「医師の働き方改革」において対応はしているが、まだまだ課題を感じています。現状の取り組みは「医師のタスクシェア」「地域病院の機能分化」等、人的リソースの配分がメインに考えられ実施されています。現状では「医師の働き方改革」を守るだけの対処療法的な形になってしまっていますが、今後は「ICT技術を活用した医師の業務の効率化」への期待も幅広い領域で高くなっていると考えられます。



メドコム編集部 川本拓也
メドコム編集部 川本拓也
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